注目作品を一気見!【ロンドンナショナルギャラリー展②】
今回は、
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展で、
私が注目した作品を紹介したいと思います!
《聖エミディウスを伴う受胎告知》
大天使ガブリエルが聖母マリアに懐妊を
伝える場面です。
ポイントは、ガブリエルの隣にいる、
街の模型を抱えている聖人エミディウス。
受胎告知が主題の絵に、
ガブリエルとマリア以外の人物が
描かれていることは、
絵画としては稀なのです。
また、神聖な受胎告知が、
人が行きかう街中で行われているのも特徴的。
その理由は、この絵のもう1つのテーマに
「自治権のお祝い」があるから。
この作品は、1482 年に
アスコリ・ビチェーノという町が、
自治権を認められたことを祝うものでした。
つまり、エミディウスは街の守護聖人であり、
抱えた街の模型はアスコリであるのです。
画面下の「LIBERTASECCLESIASTICA」
アーチ状の橋の上にいる二人の男は
自治権獲得の知らせを受け取っています。
画面内には、自治権のお祝いを表す
モチーフが沢山描かれているのですね。
キリスト教の主題を、
街の1大イベントに取り入れる、
この手法、なんだか現代でいう
「コラボイベント」
みたいではないでしょうか?
人気のキャラクターを町のイベントと
コラボして、街の活性化を図る、みたいな......
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《レディ・エリザベス・シンベビーと
アンドーヴァー子爵夫人ドロシー》
ヴァン・ダイクはフランドル出身で、
17世紀前半、
イギリス宮廷画家として活躍しました。
当時イギリスでは、
貴族が自らの豊かさを誇示するため、
豪華で華やかな肖像画を描くことが
流行りました。
ジョゼフ・ライト・オブ・ダービー
《トマス・コルトマン夫妻》
一方、こちらは
18世紀に新興の資本家や地主の間で
流行した肖像画です。
キャンバスのサイズは小さく、
乗馬のワンシーンを切り取ったかのような
臨場感のある描き方がポイント。
ヴァン・ダイクの肖像画では、
姉妹は目を合わせず緊張感を感じますが、
こちらは夫婦が会話をしているようで、
穏やかな雰囲気ですね。
このように、時代背景を考えながら、
肖像画を比較するのはとても
面白かったです。
皆さんは、もし肖像画を描いてもらうなら、
どちらの画風がお好みですか?
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バルトロメ・エステバン・ムリーリョ
《幼い洗礼者ヨハネと子羊》
幼い少年の姿で描かれた洗礼者ヨハネ。
約360年前の作品ですが、
現代の私でも「かわいい!」と
分かるほど、時代を超えた
可愛らしさが伝わってきます。
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ
《窓枠に身を乗り出した農民の少年》
こちらは
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展で
見ることが出来る
ムリーリョのもう1つの作品。
無邪気に笑う少年。
こちらも可愛らしく、
より子供らしさが表現されています。
ムリーリョは子供のあどけなさを
表現するのがとても上手ですね!
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ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー
《ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス》
英雄オデュッセウスが巨人ポリュフェモス
を倒し、島から去るシーンです。
しかし、
肝心な巨人の姿はぼんやりしており、
鮮やかな色使いや豊かな光の表現
の方が、より重視されています。
このようなターナーの風景画の画風は
後の印象派のルーツになりました。
132.5×203cmという
大きな作品なので、
臨場感と鮮やかな光の表現
に驚きます。
私は実際に作品の前に立った時、
まるで物語の中に入り込んだような
気分になれました!
ピエール=オーギュスト・ルノワール
《劇場にて(初めてのお出かけ)》
初めて劇場に来た少女が開幕を待つシーン。
印象派特有の、点描のように
はっきりと描かない筆致のおかげで、
劇場の賑やかな空気が
伝わってきます!
以上、注目した作品を紹介させていただきました!
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★ めキャベツの美!発見ポイント★
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展は
様々な時代の名作が勢ぞろい!