北斎の肉筆画に感動!【箱根・岡田美術館 ①】
箱根・小涌谷にある 岡田美術館の展覧会
に行ってきました!
この展覧会は、葛飾北斎の生涯の経歴に沿い、
彼の描いた「肉筆画」に注目しています。
葛飾北斎と言えば
富嶽三十六景の《神奈川沖浪裏》ですが
それは「肉筆画」ではなく「版画」。
浮世絵には、版画と肉筆画の二つがあります。
版画は、版元に依頼されて絵師が下絵を描き
そして彫師が下絵に沿って絵を掘り
摺師が色を重ねて作品を仕上げます。
また、流行を取り入れた
大衆受けの良いテーマが取り上げられたり,
スポンサーの意向に沿ったりした作品が
多いそう。
一方、肉筆画は絵筆を用いて
絵師が最初から最後まで
一つの絵を描き切るもの。
従って、より絵師のこだわりが出やすく
なります。
肉筆画を見ることで
北斎の魅力に改めて迫ろうということですね。
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今回、特に素敵だと感じた作品を紹介します。
はじめに《傾城図》。
ここのところ、テレビで葛飾北斎が取り上げられることが多く、注目が高まっています。岡田美術館では現在開催中のテーマ展示「人物表現の広がり」で、北斎の3点の肉筆画「傾城図」「立美人図」「四季耕作図屏風」を展示しています。江戸の天才画家・葛飾北斎の作品をこの機会にご鑑賞ください。 pic.twitter.com/V6an8vxOmx
— 岡田美術館 (@okada_museum) 2017年9月23日
「傾城」とは、城を傾かせるくらい
美しい女性のこと。
江戸時代では、高級遊女を指す言葉として
用いられました。
最上級の女性にぴったりな服装をしています。
内側は市松模様の着物、
さらに羽織るのも松模様と松づくし。
帯には竜の模様があり
遊女の力強さを象徴しているようです。
大量に刺したかんざしや
異常な高さのある下駄も面白い。
とにかくゴージャスな服装に
見ていて楽しくなります。
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次に、《夏の朝》と《美人夏姿図》。
どちらも夏をテーマにしており
《傾城図》とは異なり
この2つは遊女ではなく
一般女性が描かれています。
まず《夏の朝》から。
グレーの地に青のチェック柄の着物が
夏らしい!
浮世絵の着物の柄は可愛くて
注目してしまいます。
手前には朝顔が水に浮いた小鉢が
奥には金魚のいる鉢が置かれており、
小物でも季節感が表現されています。
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続いては、《美人夏姿図》。
羽織っている着物は透けていて
中の赤い着物が見えています。
(萩の模様があしらわれています。)
今でいう「シースルー」素材のよう。
涼しげな衣装ですね!
ボリュームのある茶色の帯も可愛い。
中のひもを結ぶ悩ましいポーズが素敵です。
ファッションの視点から見ると
浮世絵の女性の着物はとてもおしゃれで、
現代でも着てみたいと思うような
素敵なものばかり。
また、現代の着物は
きっちりと着付けをしますが、
浮世絵の女性はゆるっと羽織ったり
帯をふんわり結んだり、
自由に着こなしていて見ていて楽しいです。
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他に《北斎漫画》も展示されていました。
《北斎漫画》では、魚や昆虫のスケッチ
人間のポーズ、変顔などが
自由に描かれています。
これを見ると北斎の画力を思い知らされます。
現在の絵柄とは異なるので
どこか距離感を置いてしまいます。
ですが《北斎漫画》の絵柄は
まさに現代我々が目にする漫画の絵。
より身近な感覚で評価することが出来ます。
正確なスケッチや観察力に
おもわず「上手い!」と唸ってしまいました。
(ちなみに、漫画の語源って
漫ろに描く画=何も考えず自由に描く絵
という意味だそうです。)
次回は、
岡田美術館は常設展もすごい!!【箱根・岡田美術館 ②】
です。お楽しみに!
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★ めキャベツの美!発見ポイント★
葛飾北斎の真の画力は肉筆画で確かめるべし!!