めキャベツの美!発見!!ノート

【めざせ首都圏美術館制覇!】美術好きな大学生が、美術の新たな発見を求めて、美術館や本の気づきを記録するノートです。

北斎の肉筆画に感動!【箱根・岡田美術館 ①】

箱根・小涌谷にある 岡田美術館の展覧会

北斎の肉筆画 版画・春画の名作とともに」

に行ってきました!

 

f:id:me_cabbage_art:20200830170203j:plain

 

この展覧会は、葛飾北斎の生涯の経歴に沿い、

彼の描いた「肉筆画」に注目しています。

葛飾北斎と言えば

富嶽三十六景の《神奈川沖浪裏》ですが

それは「肉筆画」ではなく「版画」。

 

浮世絵には、版画と肉筆画の二つがあります。

版画は、版元に依頼されて絵師が下絵を描き

そして彫師が下絵に沿って絵を掘り

摺師が色を重ねて作品を仕上げます。

 

また、流行を取り入れた

大衆受けの良いテーマが取り上げられたり,

スポンサーの意向に沿ったりした作品が

多いそう。

一方、肉筆画は絵筆を用いて

絵師が最初から最後まで

一つの絵を描き切るもの。

従って、より絵師のこだわりが出やすく

なります。

肉筆画を見ることで

北斎の魅力に改めて迫ろうということですね。

 

● ● ●

 

今回、特に素敵だと感じた作品を紹介します。

はじめに《傾城図》

「傾城」とは、城を傾かせるくらい

美しい女性のこと。

江戸時代では、高級遊女を指す言葉として

用いられました。

最上級の女性にぴったりな服装をしています。

内側は市松模様の着物、

さらに羽織るのも松模様と松づくし。

帯には竜の模様があり

遊女の力強さを象徴しているようです。

大量に刺したかんざしや

異常な高さのある下駄も面白い。

とにかくゴージャスな服装に

見ていて楽しくなります。

 

● ● ●

 

次に、《夏の朝》《美人夏姿図》

どちらも夏をテーマにしており

北斎美人画の傑作と言われています。

《傾城図》とは異なり

この2つは遊女ではなく

一般女性が描かれています。

 

まず《夏の朝》から。

 

f:id:me_cabbage_art:20200822220325j:plain

夏の朝 (購入したポストカードより)

グレーの地に青のチェック柄の着物が

夏らしい!

浮世絵の着物の柄は可愛くて

注目してしまいます。

手前には朝顔が水に浮いた小鉢が

奥には金魚のいる鉢が置かれており、

小物でも季節感が表現されています。

 

● ● ●

 

続いては、《美人夏姿図》

 

f:id:me_cabbage_art:20200822220329j:plain

美人夏姿図(購入したポストカードより)

羽織っている着物は透けていて

中の赤い着物が見えています。

(萩の模様があしらわれています。)

今でいう「シースルー」素材のよう。

涼しげな衣装ですね!

ボリュームのある茶色の帯も可愛い。

中のひもを結ぶ悩ましいポーズが素敵です。

 

ファッションの視点から見ると

浮世絵の女性の着物はとてもおしゃれで、

現代でも着てみたいと思うような

素敵なものばかり。

また、現代の着物は

きっちりと着付けをしますが、

浮世絵の女性はゆるっと羽織ったり

帯をふんわり結んだり、

自由に着こなしていて見ていて楽しいです。

 

● ● ●

 

他に北斎漫画》も展示されていました。

 

f:id:me_cabbage_art:20200825164501j:plain

引用元:MOA美術館 | MOA MUSEUM OF ART 北斎漫画と冨嶽三十六景

 http://www.moaart.or.jp/?event=hokusai-2

北斎漫画》では、魚や昆虫のスケッチ

人間のポーズ、変顔などが

自由に描かれています。

 

これを見ると北斎の画力を思い知らされます。

美人画北斎の絵の技術は分かりますが、

現在の絵柄とは異なるので

どこか距離感を置いてしまいます。

ですが北斎漫画》の絵柄は

まさに現代我々が目にする漫画の絵。

より身近な感覚で評価することが出来ます。

正確なスケッチや観察力に

おもわず「上手い!」と唸ってしまいました。

 

(ちなみに、漫画の語源って

漫ろに描く画=何も考えず自由に描く絵

という意味だそうです。)

 

次回は、

岡田美術館は常設展もすごい!!【箱根・岡田美術館 ②】

です。お楽しみに!

 

me-cabbage-art.hatenablog.com

 

● ● ●

 

★ めキャベツの美!発見ポイント★

葛飾北斎の真の画力は肉筆画で確かめるべし!!